側頚部を斜めに走る巨大な筋で、胸骨頭および鎖骨頭の２頭を区別する。
頭頚部の安定、回旋および屈曲に深く関与する筋。
胸骨頭は前部、内側にあり浅在している。鎖骨頭は後部、外側にあり深部に存在する。胸鎖乳突筋は肩甲帯の傾きを代償することから、姿勢保持にも一役かっている。
起始： 胸骨頭は、胸骨丙の上縁および前面から、鎖骨頭は鎖骨の内側1/3方から起こり、両頭は合して強大な筋腹をつくって後上方に向かう。
停止： 側頭骨の乳様突起、後頭骨の上項線。
神経： 副神経、 頚神経叢の筋枝（C2,C3）
作用： 頭を他側に回し、顔を上方に向かわせる。左右が同時に働くと頭を前下方に引く。頭を固定させると、胸骨および鎖骨を挙上させる。
僧帽筋と共に、頭や頚を横に向かせる。
備考： 多数のトリガーポイントを有し、様々な頭痛を引き起こす筋肉である。頭痛を訴える患者においては、胸鎖乳突筋を注意して検査する必要がある。
小鎖骨上窩、胸骨上窩、大鎖骨上窩がある。