前鋸筋


前鋸筋は腋窩の内側壁にあって広背筋に覆われ、とくに上方の筋尖は皮下にあって停止部は菱形筋および肩甲挙筋に入り、また下方の筋尖は外腹斜筋の筋尖にかみ合って鋸歯状に接する。

部位: 浅胸筋
起始: 上位8あるいは9肋骨、および第1・2肋骨間に張る腱弓から起こり、胸郭と肩甲骨との間を後方に走る。
停止: 第1・2肋骨間の腱弓からくる筋尖は肩甲骨の上角に、第2〜3肋骨から来るものは分散して広く内側縁に第4肋骨以下からくるものは下角にあつまる。
神経: 長胸神経
作用: 肩甲骨、ことにその下角を前外側方に引き、胸郭を圧する。肩甲骨を固定すると、肋骨を外側上方にひく。
     肩甲骨内側縁を胸郭のそばに保持する。肩甲骨を上方回旋させる。肩甲骨を引き下げる。
備考: 胸筋の協力筋であり、菱形筋の拮抗筋である。肩甲骨を外転させる唯一の筋
     胸部側面および腕の下側に小胸筋と同じパターンの痛みを起こすことがあり、これらの痛みは前鋸筋に沿って治療するのが最も容易である。
ADL: かろうじて届くものに手を伸ばす。物を前に押し出す。深く息を吸うとき胸郭を持ち上げる。