アトピー性皮膚炎・アレルギーを考える

 整体的な観点からアトピー性皮膚炎や喘息などアレルギー性の病態を考えますと、やはり呼吸がキーポイントになると思います。
 「呼吸」といいますと腹式呼吸や丹田呼吸、ヨーガや気功といった類の呼吸法などが思い浮かび、「どれがその人に最適か?」といった方向に話が進みがちですが、ここではそういった視点ではなく、あくまでも整体的な観点でお話しさせていただきます。
○やはり鼻呼吸が大切
 アトピーの人に限らず、今、口呼吸の人が大勢います。
鼻呼吸の大切さについては西原克成博士の著書をご覧になっていただければと思います。
 私たちの鼻は驚くほどに素晴らしい能力を持っています。外気温がマイナスの極寒だろうと酷暑だろうと、空気がどれだけ乾燥していようと、鼻から空気を吸って喉にたどり着くまでの、ほんの短い時間に、吸気を身体にとって最適な温度と湿度の状態にしてくれます。さらに空気中に漂っているホコリやばい菌なども排除してくれるという、本当に素晴らしいものです。外気中のマイナス要素から身体の内部を守る最初のとりでです。
 しかし、口で呼吸をしている人はこの素晴らしい能力の恩恵に授かれません。空気中のばい菌やホコリは喉まで直接入ってきますし、冷たい、あるいは熱い空気は喉や気管支を直撃します。湿度の低い空気から酸素を取り出し血液中に送り込むことは肺にとっては効率の悪いことで負担をかけてしまうことになります。
 ですからアトピーに限らず体質の弱い人、疲労のたまっている人は、まず口呼吸を改める必要があります。
○鼻呼吸にとって大切な鼻骨、頬骨
 アトピーの人や喘息の人、花粉症で悩んでいる人、それらの人を拝見しますと必ずと言っていいほど鼻骨が下がっています。鼻骨は鼻の一番上の方にあり、両眼の間にある骨です。
「鼻骨が下がっているかも」と思われる方は、両手中指の先で鼻骨にあてがい、その骨を上(額の方)にちょっと上げてみてください。それだけで鼻からの呼吸がしやすくなりませんか?
 次に、また両手中指の先を両眼外側のすぐ下にある出っ張った頬骨にあてがい外側に開いてみてください。すると空気の取り入れが良くなった感じになりませんか?
 鼻呼吸を心がけようとしても、鼻骨が下がり頬骨が内側に寄っている人は、鼻呼吸だけでは息苦しさを感じるようになり、ついつい口で呼吸しがちになります。
 鼻呼吸が苦手な人は、まず鼻骨と頬骨を本来の正しい位置にくるように修正する必要があるでしょう
○胸が上がっていると空気が吸いづらくなります
 呼吸の時、肋骨が上下に動きます。空気を吸う時には肋骨は上に動きます。吐くときには下に動きます。
 ところで胸(肋骨)が上にあがったままの人がけっこういるものです。お腹が冷えていたりして腹筋が働いていなかったり、下半身の方に整体的な問題があるのかもしれません。お腹がボンと前に突き出た中年の男性を想像してみてください。どこか息苦しそうな感じがしませんか? こういう人も胸が上に上がっています。
 胸が上がっている状態は空気を吸い込んだときと同じような状態なので、それ以上空気を吸うことがしづらくなります。そんな人は両手を胸にあてがい下にさげるだけで空気が奥まで入ってきて呼吸が楽になります。
○後頭部(後頭骨)が上がっている人は息がうまく吐き出せなくなります
 後頭骨と仙骨は呼吸に合わせて上下に動く仕組みになっています。空気を吸うとき後頭骨はあがり仙骨はさがります(後ろに動く)。吐くときにはこの反対で、後頭骨は下がり仙骨は上がります(前に動く)。
(これは吸気のとき頭蓋と骨盤が広がり、呼気のとき縮むためです。)
 姿勢の問題や手指や下半身の方の問題などで、仙骨がさがったままで後頭骨があがったままになっている人もけっこういます。そんな人は息を大きく吐き出すことがしづらくなりますので、やはり呼吸が浅くなります。また、後頭骨と鼻骨は関係が深く、後頭骨があがっていると鼻骨がさがった状態になります。
 実際、全身性のアトピーの方を施術するとき、後頭骨を下げてみますと、即座に鼻骨があがり、頬骨が拡がり、呼吸がとてもらくになることが多いです。ご自分で後頭部を下にさげてみてください。片手を鼻骨にあてがい、もう一方の手で後頭部をグッとさげますと鼻骨があがるのが感じられると思います。そして鼻での呼吸がしやすくなるのではないでしょうか。
○呼吸がよくなると皮膚は変わります
 呼吸が楽に大きくなり、空気の取り入れが良くなりますと、短時間のうちにどんどん皮膚の状態が変化していきます。私たちの身体は不思議というか、うまくできていて、体内がよい状態に変化しますと速やかにそれは皮膚に現れます。
 東洋医学(中医学)では、皮膚は臓器としては肺に関係し、肺は鼻と密接な関係で、さらに「息」と関係すると考えられていますが、実際のところ、まさしくその通りであると私は思います。

 そして整体的な観点からみた「良い呼吸」とは「鼻呼吸」であり、
 鼻骨・頬骨・胸郭・後頭骨(および仙骨)がポイントであると思います。
 さらにヨーガ的な見方をあわせますと、胸のチャクラである胸腺は大切であると思います。
 (近代医学的にも免疫において胸腺は大切な役割を担っていることは知られています。)

ゆめとわでの対応
 ゆめとわでは二つの面から整体的な対応を行います。それは呼吸に主眼をおいた全身性の対応と、炎症やかゆみといった症状に主眼をおいた局所的な対応です。

@全身性の対応‥‥楽に鼻呼吸ができるように
 上述しましたように、ポイントは鼻骨・頬骨・後頭骨・胸を整えることになりますが、それ以外にも身体にねじれがあるとやはり深く安らかな呼吸はできませんので、身体のねじれをとることも大切です。
 鼻骨・頬骨・後頭骨というのは頭蓋の骨ですので、顔の整体を行います。
 また、胸には免疫にとって大切な胸腺があります。胸に手を当てるだけでも穏やかさが訪れると思いますが、胸骨をていねいに整えることも大切だと考えています。

A局所的な対応‥‥炎症とかゆみを軽減するために
 全身性の湿疹に悩まされているようなときは、リンパ節が存在する首や腋、肘、膝など関節に強く症状が現れるものです。
 整体的に、炎症やかゆみは皮膚や筋膜の変調としてとらえることができます。変調というのは、こわばっていたりゆるんでいたりという意味です。そして身体はひとつながりですから、首のかゆみと膝の炎症、足首の炎症と顔のかゆみは関係しています。全身のあらゆるところが湿疹を伴っていたとしても、必ずそれらの原因となる変調が何処かにあります。
 一つの例ですが、生後3ヶ月から現在36歳になるまでずっと全身性のアトピーで苦しんでいる方がいます。拝見しますと首の両側・両肘・両手首・両膝・左足首が炎症していて熱がこもっていました。しかし、右足首はそうではありませんでした。冷えていて筋肉がゆるんでいました。その原因を探っていくと右足かかとの内側の筋膜(ヒラメ筋の延長上)にゆるみ過ぎがありました。そこを手当てして、鼻骨・後頭骨などを整えていくと、わずか数十分でそれぞれの関節にあった炎症は軽減し、熱感が消えました。硬く黒ずんでいた皮膚も柔らかく明るく変化しました。これだけで36年間患ってきたアトピーが改善したということではありませんが、皮膚に大きな変化が起きたことはこれからの希望です。

 全身性ではないけど部分的にアトピーのような症状があるという人もいます。あるいは局所的に湿疹があってなかなか治らないという人もいます。
 こういう人は、やはりその部分の骨格が微妙にずれていたり、皮膚に変調があったりしています。こういう人は薬を塗ってもなかなか解決しません。一度骨格を整え変調を解消することをおすすめします。

体質改善やスキンケアだけでなく整体的なアプローチも是非おすすめします
 アトピーや喘息は体質の問題でもありますが、体質改善を目指す方法だけでは時間がかかってしまいます。 スキンケアも大切です。体質改善も大切です。症状を軽減するための薬物療法も有効な方法であるかもしれません。しかし整体的な観点で見ると、具体的に改善すべき点がありますし、それらはその場で改善することができます。すると変化が目に見えて現れます。
 アトピーや肌荒れでお悩みの方は、是非一度ご相談下さい。

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