2010.10.27
つらい冷え症、こわい低体温

 「冷え症」でつらい思いをしている女性はたくさんいますが、同じ「冷え」でも体の健康にとって、もっと注目して気をつけていただきたいものは「低体温」です。
 私たちの体の深部体温は37℃を基準に±1℃の範囲におさまるよう厳密に体温調節がなされています。
 体を病原菌などから守る免疫力は、体温が35℃台に低下しますと能力を十分に発揮することができなくなり、病気になりやすくなると云われています。また、食物の消化吸収や細胞の新陳代謝などに深く関わっている酵素などの働きも極端に低下してしまうと云われています。
 現在、老若男女を問わず低体温の人が多くなっているということです。低体温を放っておくと病気になる危険性が高まりますので十分に注意する必要があります。
 若い女性にも増えてきている婦人科系のさまざまな問題には、低体温が関係している可能性もあると考えることができます。

 体の冷えの3つのタイプ
  @手足などの「冷え症」だが、深部体温は大丈夫
  A手足は温かく「冷え症」だと思わないが、低体温
  B「冷え症」でもあり、低体温でもある

 @のタイプが一番多いでしょう。冷え症だと自覚している人に「どこが冷えますか?」と尋ねますと、ほとんどの人が手先や足首から先とか、膝から下と応えます。そして、これらの場所の神経は敏感ですので、深部(お腹)の冷えよりも感じやすく、実感として冷たさがより強く感じられるのでしょう。
 Aのタイプの人は、@とは反対になりますが、このタイプの人こそ要注意です。手も足も温かいので「冷え症ではない」と思っているからです。手足が温かいのは内部の熱を手足から放出しているからで、自律神経などに問題があるからかもしれません。
 Bのタイプの人は熱不足が主な原因だと考えられます。
 体の熱は食事と筋肉の働きによってつくられますので、日々の食材の見直しとウォーキングなどの運動によって筋肉の働きをしっかりさせ、新陳代謝の力をアップさせるべきだと思います。つまり体質改善に取り組む必要があるということです。


@冷え症は低体温にならないための体の仕組み
 私たちの体温は、体が食物の力や筋肉の働きによって熱を産み出し、その熱を血液の流れに乗せて体の隅々まで配ることによって保たれていると考えられています。
 「冷え症」に直接関係するのは毛細血管とそれより少し太い細動脈・細静脈と呼ばれる血管です。冷え症の人は手先や足先が冷たくなる場合が多いのですが、手指の毛細血管は皮膚(深さ0.2o位)の位置にありますので外気温の影響を大きく受けます。細動脈・細静脈は皮膚の下(深さ1o位)にありますので外気温の影響をあまり受けないようになっています。
 冬場など外気温が低くなりますと、体は37℃という深部体温を維持するため、血液の温度を下げないように働きます。具体的には、体表の毛細血管に流れる血液の量を大きく減らすのですが、それは自律神経(交感神経)の働きによるものです。毛細血管への血流量が減りますので、皮膚の細胞の働きは鈍くなりますし温度も低くなってしまいます。ですから「冷え」というつらい症状となってしまうのです。
 多くの人が実感している「冷え」は先の項目の@のタイプかと思いますが、それは四肢(手足)を犠牲にしてでも内臓や脳を守ろうとする体の防御システムが正常に機能している現れであるともいえます。
 Aのタイプは、これとは反対になりますが、自律神経(交感神経と副交感神経)の切り換えが上手くできないので体表の毛細血管にどんどん血液が流れます。そのため表面はポカポカしますが、深部の体温が奪われていき低体温になってしまっているのです。これは本人に「冷え」という自覚がないだけに、十分注意する必要があります。


A低体温にならないために―お腹を冷やさない
 体の深部(お腹)に熱が足りなくなるので手足や皮膚の血流を止めてでも内臓と脳の働きを守ろうとするのが体に本来備わった仕組みですから、反対から考えますと、お腹に熱が十二分にあれば、その熱は手足や皮膚に回ってくるということになります。
 運動をしているときは筋肉がたくさん働きますので、外気温が低くても汗が出るほど温まります。また、温かい食事や香辛料の入った食事をしているときは、内臓が刺激されて温まりますので、やはり体中がポカポカしてきます。ここに冷え対策のヒントがあります。
 体の熱は主に肝臓と筋肉の働きによって産み出されます。ですから、食事と運動が大切になってきます。
 冷えを感じる人は体を温める食材を選んで食べるようにしましょう。冷たい飲み物やアイスクリームには気をつけましょう。適度な運動によって筋肉をつけ、筋肉をしっかりさせることを目指してください。筋肉がしっかりした状態であれば、それほど運動をしなくても熱をつくってくれます。そして積極的にお腹を温める工夫をしてください。手足を温める以上にお腹を温めることを考えてみてください。これが冷え症克服の鍵だと思います。


ゆめとわでの対応
 「冷え症」や「低体温」になる原理は上記の通りと考えていますので、“お腹に対する施術”が主体になります。ただし、「右手の小指が冷える」「脚の外側が冷える」「左の足首から先が冷える」など、体の“どこかの部分”が特に冷えを感じるなどの場合は、手首や足首や股関節、膝関節などといった関節が正常ではないことが十分に考えられますので、“お腹の調整”と“関節の歪みの修正”の両方の面からアプローチすることがほとんどです。

@お腹の改善(腹直筋などの調整)
 こちらで“お腹の施術”を受けられた方は体験的に理解できることですが、“おへその部分”や“腹筋(腹直筋)”に手を当てて、それらの変調を調整しますと、お腹の深部でドクンドクンと脈動が強まり、お腹周りの血液循環が良くなるのがわかります。少ししますと体の内部から温まるのですが、やがてその熱が手足の方にも回っていきますので手足も温まり、体全体がリラックスするのが感じられるようになります。(多くの場合、そうなります。)
 お腹が冷えていますと、お腹の深いところは固くなっていますので、手を少し入れていくと壁のように硬くなったものに突き当たります。それは腹筋がしっかりしているため硬いわけではありません。冷えているので硬くなっているのです。こういう人は同時に背筋も硬くなっている場合が多いので、腰の部分も押すと痛みを感じることでしょう。
 こういう方には、この施術を是非おすすめします。そして、お腹が十分に温まることで、余った熱が手足の方にも回り、やがて体全体がリラックスしてくること体験していただきたいと思います。

A関節の歪みの修整
 上記の施術で体全体は温まってきたが、それでも“どこかの部分だけ”どうしても冷たいとか、「血液がそこから先にはいかない」という自覚がある場合は、その直前の関節に歪みがあるということが考えられます。たとえば「膝から下が冷たい」というのであれば、膝関節が正常ではないということであり、「右脚全体がおかしく感じる」というのであれば、右の股関節に歪みがある可能性があります。
 こういう場合は、“冷え”だけでなく同時に“むくみ”もあると思いますし、温湿布やカイロやその他の手段を使って外から温めてみても今ひとつ心地良くはなりません。関節の歪みを修整すれば、すぐに解決する場合がほとんどです。  

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