“首・肩のこり”を考える (1)

 一般に首・肩のこりで“こり”と考えられているものは、私の見方では大きく二つに分けられます。
 一つは、筋肉や筋膜の中に老廃物や水分が停滞してしまっていて、中身がパンパンになってしまっている状態です。その状態がひどくなりますと、コリコリと石のように硬くなってしまいます。揉みほぐそうとしても、指が受け付けられないくらいに硬くなってしまっている状態は、“こり”がかなり強くなっている状態です。
 筋肉の中には血管や水分(リンパ)や老廃物がありますが、それらが身動きできない状態ですので、これを解消するためには、運動をして筋肉を伸ばしたり縮めたりしながら詰まった状態の中身を流すことも有効です(肩こり体操など)。しかし、カチカチに固まってしまった部分は、そう易々と解消することは難しいので、揉みほぐしやマッサージなどの手段が必要です。
 こういう状態では、揉みほぐし施術の最初のうちは痛みを感じるかもしれませんが、次第に気持ちよくなり、詰まったものが流れてしまえば“重さ"がとれて軽くなったように感じることでしょう。
 二つ目は、筋肉がこわばってしまっている状態です。これは筋肉の“張り”として現れます。こわばるというのを簡単に表現すれば、筋肉が縮んでいて伸びにくくなっている状態か、縮む方向に力が働いている状態です。筋肉が縮んでいて伸びにくくなるのは、その筋肉の使いすぎがまず考えられます。あるいは筋肉の連動関係で、他の筋肉のこわばりが連動してその筋肉もこわばってしまうというものです。例えば、首の斜角筋という筋肉は噛む筋肉と連動しますので、噛みしめや食いしばり、歯ぎしりの癖などによって噛む筋肉がこわばりますと斜角筋も連動してこわばり、首筋の張りとなって現れます。また、筋肉が縮む方向に力を働かせているとは、骨と骨の間が本来の位置よりも離れているため筋肉にテンションがかかり、筋肉が骨の位置を元に戻そうと縮みたがっている状態です。例えば肩甲骨が本来の位置よりも下に下がってしまっている場合、肩甲骨と後頭部や頚椎(首の骨)の距離が遠くなりますので、頭や首から肩にかけての筋肉(僧帽筋や肩甲挙筋)、あるいは肩甲骨の内側にある菱形筋がそのような状態になります。

 一般に“こり”や“張り”と呼ばれているものは、筋肉の性質上、以上のように大別することができます。さらに実際には多くの場合、こりと張りが混在して一体化しています。ですから首・肩のこりや張りを解消しようとするならば、こりを解消する施術と張りを解消する施術の両方を行う必要があります。
 また多くの場合、張り(=こわばり)は揉みほぐすだけでは改善することができません。張りがなくなるほどに揉みほぐし続けますと筋肉はダメージを受けてしまうでしょう。「肩こりは取れたけれど、頭や腕が重たく感じる」などのような状態になってしまうかもしれません。

“首・肩のこり”に対する考え方

(1) “こり”と“張り”の違い

一般に首・肩のこりで“こり”と考えられているものは、私の見方では大きく二つに分けられます。
 一つは、筋肉や筋膜の中に老廃物や水分が停滞してしまっていて、中身がパンパンになってしまっている状態です。その状態がひどくなりますと、コリコリと石のように硬くなってしまいます。揉みほぐそうとしても、指が受け付けられないくらいに硬くなってしまっている状態は、“こり”がかなり強くなっている状態です。
 筋肉の中には血管や水分(リンパ)や老廃物がありますが、それらが身動きできない状態ですので、これを解消するためには、運動をして筋肉を伸ばしたり縮めたりしながら詰まった状態の中身を流すことも有効です(肩こり体操など)。しかし、カチカチに固まってしまった部分は、そう易々と解消することは難しいので、揉みほぐしやマッサージなどの手段が必要です。
 こういう状態では、揉みほぐし施術の最初のうちは痛みを感じるかもしれませんが、次第に気持ちよくなり、詰まったものが流れてしまえば“重さ"がとれて軽くなったように感じることでしょう。

 二つ目は、筋肉がこわばってしまっている状態です。これは筋肉の“張り”として現れます。こわばるというのを簡単に表現すれば、筋肉が縮んでいて伸びにくくなっている状態か、縮む方向に力が働いている状態です。筋肉が縮んでいて伸びにくくなるのは、その筋肉の使いすぎがまず考えられます。あるいは筋肉の連動関係で、他の筋肉のこわばりが連動してその筋肉もこわばってしまうというものです。例えば、首の斜角筋という筋肉は噛む筋肉と連動しますので、噛みしめや食いしばり、歯ぎしりの癖などによって噛む筋肉がこわばりますと斜角筋も連動してこわばり、首筋の張りとなって現れます。また、筋肉が縮む方向に力を働かせているとは、骨と骨の間が本来の位置よりも離れているため筋肉にテンションがかかり、筋肉が骨の位置を元に戻そうと縮みたがっている状態です。例えば肩甲骨が本来の位置よりも下に下がってしまっている場合、肩甲骨と後頭部や頚椎(首の骨)の距離が遠くなりますので、頭や首から肩にかけての筋肉(僧帽筋や肩甲挙筋)、あるいは肩甲骨の内側にある菱形筋がそのような状態になります。

 一般に“こり”や“張り”と呼ばれているものは、筋肉の性質上、以上のように大別することができます。さらに実際には多くの場合、こりと張りが混在して一体化しています。ですから首・肩のこりや張りを解消しようとするならば、こりを解消する施術と張りを解消する施術の両方を行う必要があります。
 また多くの場合、張り(=こわばり)は揉みほぐすだけでは改善することができません。張りがなくなるほどに揉みほぐし続けますと筋肉はダメージを受けてしまうでしょう。「肩こりは取れたけれど、頭や腕が重たく感じる」などのような状態になってしまうかもしれません。
A首がバリバリに硬くなるのは、噛む筋肉が硬くなっているから

 頭部のすぐ下から首、さらに鎖骨の方まで硬くなってしまうのは、主に胸鎖乳突筋と斜角筋のこわばりです。この二つの筋肉はそしゃく筋と連動しますので、噛みしめ、食いしばり、歯ぎしりの癖によって耳の直下から顎のエラにかけての部分が硬くなっていることが主な原因です。そしてこういう人は本当にたくさんいます。さらにこのような人は頭部の筋肉や筋膜もこわばりますので、頻繁に頭痛や偏頭痛の症状に悩まされます。多くの人が首や肩がバリバリに硬くなってしまったので、頭痛になり顎関節の調子も悪くなったと考えますが、実際は、そしゃく筋がこわばったため顎関節周辺がコチコチになり、その影響で頭痛が起こり首がバリバリになってしまうという順番です。
 また首を十分に回すことができなかったり、首を回すと首筋に張り感や痛みを感じるなどの場合も斜角筋のこわばりによる影響が考えられます。そしてこの場合は、そしゃく筋のこわばりが原因であること以外に、胸郭(肋骨)が本来の位置より下がっていることが可能性や、肋骨が捻れを起こしている可能性も考えられます。胃の調子も悪かったり、呼吸が浅く息苦しさを感じる症状を併せ持つような場合は、胸郭も正す必要があるでしょう。

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