2011.05.31
むくみ(膝下・下半身・顔・全身)について

 むくみに関係する内臓の臓器は腎臓・肝臓・心臓であると言われています。これらの働きが鈍って利尿作用が低下しますと、スネ付近を指で押すと凹んでしまうようなむくみが見受けられるようになります。
 むくみは部分的に、あるいは全身的に水分の流れが停滞するために起こる場合と、内臓の働きが鈍くなり基準以上に水分が体内に余ってしまうことによって起こる場合があります。
 整体の領域で対応できるむくみは、リンパや静脈の流れが悪くなるために水分が停滞してしまう前者の場合が主になります。
 ふくらはぎ(膝下)や下半身、あるいは顔のむくみが気になる人が多いようですが、むくみが全身性である場合もあり、背中がスッキリしない、手指が握れない、などの不快感をもたらす場合もあります。眼がゴロゴロする、つまり眼圧が高まっているというのもむくみの一つであると考えることができます。また臨床的によくあることですが、めまいがするというのも内耳の器官がむくんでいる可能性があります。
 今回はそれらを含めてむくみについて考えてみたいと思います。
 四つのむくみ
    @膝から下、ふくらはぎや足のむくみとだるさ
    A股関節から下の下半身全体のむくみ(下半身がパンパン状態)
    B顔のむくみ(朝方のむくみ)
    C全身性のむくみ(お腹・背中・手・指など)

@膝から下、ふくらはぎや足のむくみとだるさ
 
立ち仕事が多い人、一日中パソコン仕事で座りっぱなしの人などは、夕方になると靴がきつくなるほどむくみを感じる場合があります。このむくみの程度が進みますと、だるくなり膝から下をどうにかしたいと不快感を感じるようになります。こんな時は「足リフレ」の施術が効果的です。
 しかし、リフレによって一時はスッキリするものの2〜3日するとまたむくみを感じだす場合も多いことでしょう。なぜなら、このむくみをもたらす根本的な原因を足リフレなどの施術では解消することができないからです。
 このタイプのむくみをもたらす原因は大きく二つが考えられます。一つは、肩こりと同じようにふくらはぎの筋肉などが凝っていたり、こわばっていたり、あるいは弛みすぎている場合です。それによって静脈やリンパの流れが悪くなっているためにむくみが生じます。これはマッサージやリフレなどの施術によって原因を解消することができるかもしれません。
 二つ目は、膝関節が歪んでいる場合です。関節の歪みというのは、太ももの骨と主にスネの骨の位置関係が正しくない場合です。足は心臓から遠く離れていますから、心臓のポンプ作用による血流を循環させる力は弱くなっています。また静脈やリンパは自分自身の力で血液やリンパ液を心臓に戻す機能はありません。周りの筋肉の働きによって、つまり牛の乳搾りのような作用によって前方に運ばれます。膝関節が歪んでいると血管やリンパ管のホースがよれてしまうような状態になりますので、通りが悪くなり、水分が停滞してしまうと考えることができます。この場合は、マッサージなどの手段ではなく、整体によって膝関節を正常に整えることが必要です。
 臨床的に申し上げまして、膝関節や足関節(足首)を整えますと速やかに、ものの見事に静脈やリンパの流れが改善されます。


A股関節から下の下半身全体のむくみ(下半身がパンパン状態)
 いつも太ももをはじめ下半身がパンパンになっている人がいます。脂肪の影響もあるかもしれませんが、風船がパンパンしているような感じで押しても余裕がないような状態の場合は、むくみの要素の方が強いと考えられます。股関節のところで血液やリンパの流れが悪くなっているので、上半身はそうでもないのに下半身が重く感じられたりするようです。
 股関節のところには鼡径部があります。鼡径部の狭い隙間に太い動脈や静脈、リンパ、そして筋肉(大腰筋・腸骨筋)が通っていますので、股関節や骨盤に歪みがあると静脈やリンパ圧迫されて流れが悪くなります。
 また下半身の始まりであります骨盤には、小腸や膀胱、子宮・前立腺・卵巣・性器などの大切な臓器がありますが、お腹が冷えますとこれらの活動が鈍ると考えられます。するとやはり下半身の血液やリンパの流れも悪くなります。実際、臍を中心に手をあてお腹の深い部分を温めますと下半身のパンパンした状態が数分のうちに改善されていきます。
 東洋医学では小腸と心臓は表裏の関係と考えられています。日中活動しているときには交感神経が優位に働いて心臓が活発に働き、血圧を上げて全身の循環をつかさどりますが、夜寝ているときには血圧も下がり心臓も一種の休息状態になります。その時には副交感神経の働きが優位になって小腸や肝臓をはじめとする消化・吸収・代謝に関わる臓器が活発に働きます。つまり夜中は小腸に血液が集まりますので、小腸の働きが全身の循環に貢献します。お腹が冷えている人は体内酵素の働きが低下しますから小腸の働きも悪くなります。すると下半身太りや朝起きたときの体の痛みにつながります。



B顔のむくみ(朝方のむくみ)
 朝起きたときに顔がむくんでいる人はけっこういるようです。そのむくむが活動を開始して1時間から2時間すると気にならなくなるというのであれば、そのむくみの原因はやはり寝ている間の循環に問題があるからだと思います。寝ている間は自律神経の働きで血圧が低下します。女性には低血圧の人が多いようですが、そういう人は更に低血圧になりますし心拍数も低下しますので、寝ている間の血液循環は乏しくなります。ですからどうしても水分が停滞気味になってしまうのでしょう。
 朝方だけでなく日中も、夜も、常に顔にむくみを感じているような時は、顔や頭の循環が鈍くなっているということです。顔や頭の骨格が歪んでいたり表情筋や皮膚などに変調があると、やはり顔面部におけるリンパや血液の循環が鈍くなりますのでむくみが生じてしまいます。
 私たちは日々、食べたり、話したり、笑ったりして表情筋を動かしていますが、それぞれの人に固有の癖があります。癖というのは“筋肉の使い方の偏り”と同じ意味ですが、その偏りが長年続きますと、そのように筋肉は変調します。そしてその変調によって骨格も歪み顔面全体の流れが悪くなります。すると水分が停滞しますので、むくみとなって現れることになります。
 このようなむくみを改善するためにリンパマッサージやフェイシャルマッサージなどがありますが、整体によって骨格を整え、癖による筋肉の変調を解消することで速やかにむくみは解消されていきます。



C全身性のむくみ(お腹・背中・手・指など)
 体のどこかがむくんでいるという部分的なことではなく、全身がむくんでいるという人もいます。むくみによって体が重たく感じている人・太っている人と言ってもいいかもしれません。
 腹筋の働きが悪いと身体全体がむくみます。ご飯をよく噛まないとむくみます。この二つは体の働きを支える上での根本的な仕組みです。腹筋については誤解されやすいのですが、腹筋運動で筋肉を鍛えることよりもお腹を冷やさないことの方を優先するべきです。もちろん腹筋そのものが乏しければ話しになりませんから腹筋を鍛えることも大切ですが、筋肉の働きは冷えに弱いですから、つまり温度がないと働きが鈍くなりますから、そういう意味で冷やさないことの方が大切だ申し上げています。
 
 全身の血液は静脈に入って心臓に戻りますが、最終的に心臓に戻るルートは二つです。一つは下半身と内臓の静脈を集めて心臓の下側から戻るルート(下大静脈)。このルートでは下半身の静脈は鼡径部(股関節)を通りますので、そこでの流れが悪くなりますと上記Aの通りです。もう一つのルートは、鎖骨下静脈です。全身の静脈はネットワーク状につながっていますので、上半身の静脈だけでなく下半身の皮膚近くの浅い静脈もこの鎖骨下静脈を経由して心臓に戻ると考えられます。また大量の血液を必要とする脳からの静脈も最終的にはこの鎖骨下静脈と合流して心臓に戻ることになります。さらに全身のリンパはすべて最終的にこの鎖骨下静脈に合流して心臓に戻りますので、鎖骨下静脈の流れが悪くなると全身のむくみに大きく影響します。
 鎖骨下静脈の流れが悪くなってしまうのは、鎖骨や肋骨が正しい位置関係になく、その間隙を通っている血管が圧迫されているからではないかと考えることができます。
 鎖骨と肋骨の関係を考えるとき、鎖骨が下がっているか肋骨が上がっていれば、その隙間が狭くなりますので、それぞれについて考えてみます。
 これは一つのケースですが、鎖骨は胸鎖乳突筋という筋肉によって頭部とつながっています。この胸鎖乳突筋は噛む筋肉(咬筋や側頭筋)と連動しますので、噛む筋肉が弛んでしまうと胸鎖乳突筋も弛み鎖骨は下に下がってしまいます。両肩が前に出ている人は鎖骨が「V字型」になっている傾向がありますが、そのような状態が鎖骨が下がっている状態です。
 肋骨の方は腹筋(腹直筋)によって骨盤(恥骨部)とつながっていますので、腹筋の働きが悪くなると筋肉が弛み上に上がってしまいます。あるいは肥満などでお腹が大きく出てしまいますと、上に持ち上げられる恰好になります。仰向けで横になったとき、胸やバストが顔の方に近づく感じがしたり、あるいは長い時間仰向けでいるとなんとなく息苦しさを感じるようであれば、それは肋骨が上がっているということです。私たちは息を吸ったとき肋骨が上がるようにできていますが、肋骨が上がった状態はつまり息を吸った状態と同じなので、息を吐き出すことがうまくできず息苦しさを感じるようになるのです。
 
 鎖骨下静脈の流れはとても重要だと考えています。脳は大変多くの酸素を消費し炭酸ガスを排出しています。つまり動脈と静脈の循環が活発なところです。この循環が停滞しないためには心臓の働きもさることながら、動脈硬化の危険性もさることながら、頚静脈が合流する鎖骨下静脈の流れに滞りがないように保つことも重要だと考えています。
 眼がゴロゴロするような状態は眼圧が上がっている状態だと考えることができますが、眼というのは脳が表に飛び出したものですから、眼圧が高いということは脳内の圧力も高まっていると考えることもできます。実際、眼のゴロゴロ感は鎖骨と肋骨を整え鎖骨下静脈の流れを改善することによって速やかに解消することができます。また、めまいの中のあるものは内耳のリンパに関係していると思われますが、やはり鎖骨下静脈の流れを整えることによって、めまいの症状が改善することもあります。

 医学医療の分野において、この鎖骨下静脈のこと、つまり鎖骨と肋骨の関係についてもっと着目していただければ、いろんな不定愁訴が簡単に改善できる道が開けるのではないかと思っています。
 ここでは、鎖骨と肋骨の関係を上・下のずれとして記しましたが、実際には体が捻れていて鎖骨と肋骨が反対の方に向いているという場合もありますし、それ以外にも位置関係が悪い場合もあります。

ゆめとわでの対応
 私たちの体については、医学的にも科学的にも解らないことがまだまだ沢山あります。ですから、私たちの体は“不思議がいっぱい”と言われているわけです。
 実際、体の歪み、関節の歪みというものは、大きな歪みであればレントゲンなどで認識することができますが、微妙な歪みは静止画で認識することはできません。それは技術者が“触った感触”で認識できる類のものです。
 例えば膝関節に歪みがあって血流が悪い場合、その歪みを正位に戻しますと即座に血流が活発化する兆候が施術する手を伝わって感じられるようになります。そしてしばらくその状態を保ちますと膝から下のむくみは改善されていきます。体というのはそのようにできているからです。これを自然治癒力とか自己治癒力と表現してもよいかもしれません。問題はこの施術している手を離してしまうと正位の状態だった膝関節が元の歪んだ状態に戻ってしまいますので、再びむくみを生み出す状態になってしまうことです。そして、この部分が整体の技術力を問われるところになります。膝関節に歪みをもたらした根本的な原因を探し出し、それを整えることが整体の本来の役割だと思います。
 膝関節の歪みであれば、手の母指が原因となっているケースも多く、包丁を使っていることが原因しているということもあります。母指の付け根のこわばった筋肉をほぐすと膝関節が整い膝下のむくみが解消していくということもあります。

 むくみを改善する手段としてリンパマッサージなどの療法もあります。それらが効果的な場合ももちろん沢山あるでしょう。しかしながら、上記の理由から、マッサージの類の方法はやはり対処療法的であり、一時的な効果しかもたらさないものだと私は考えています。

 ここでは、むくみをもたらす歪みをつくり出している根本的な原因を探し出し、そこを整えるという方針で施術にあたっています。

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