2010.08.23
手のひら・足裏の汗について

 季節や気温に関係なく手のひらや手指、足の裏にたくさん汗をかいてしまうという人がいます。
 そういう症状を持たない普通の人でも、精神的に緊張しますと手のひらが汗ばむことがあります。ですから、手のひらや足裏によく汗をかく人は精神的な問題があるのではないかと診断されることもあるようです。しかし、普通の人に比べて緊張しやすいとか、悩みが多いとか、気持ちが沈んでいるとか、精神的問題を抱えているとは、本人の感じ方も含めて思えない人でも、そんなトラブルを抱えている人はけっこういらっしゃいます。
 ゆめとわでは手のひら・足裏の汗については、とても気にします。手のひらや手指は物をつかむ仕事をたくさんするため、物がすべらないように、顔や体の他の部分が汗をかいていてもそこだけは汗をかかないようになっています。それが本来の姿です。ですから、手のひらや足裏に汗をかきやすい状態は本来のあり方ではありませんので、もっともっと気にかけていただき、必ず改善すべき症状であると考えていただきたいと思っています。

 手のひら・足裏に汗をかく原因について‥施術経験から
    @体内水分の流れが悪い‥‥部分的なむくみが原因している
    A体の深部筋肉の働きが悪い=骨格を支える筋肉がゆるんでいる

@体内水分の流れが悪い=部分的なむくみが原因している
 体の中の水分には血管の中を流れる血液(動脈血と静脈血)、リンパ管の中を流れるリンパ液がありますが、それ以外にも組織液(間質液)と呼ばれる体液があります。動脈血は主に心臓のポンプの働きで体内を循環しますが、静脈血・リンパ液・組織液の循環は多くを筋肉の働きに依存していますので、筋肉の状態や働きが悪いとどうしても停滞してしまいます。あるいは骨格にゆがみがありますと、関節のところで流れが悪くなりますので、やはり停滞気味になります。このような理由で体液の循環が滞りますと、それはいわゆる“むくみ”と呼べる状態なのですが、夜寝て朝起きる頃には改善するむくみとは違って、その部分は“いつもむくんでいる”状態になってしまいます。
 さて「足は大丈夫だけど、手のひらだけ汗をかいてしまう」あるいは反対に「手は大丈夫だけど、足裏だけが汗ばみ冷たい」という人の場合は、この部分的なむくみが原因していると考えています。
 手のひらがいつもブヨブヨしている(“柔らかい手”と感じている人もいるかもしれません)が体のほかの部分はそうではない、というような人はこのケースかもしれません。足裏の場合も同様です。
 動脈血の循環は心臓の働きをたよりにしているのですが、その他の体液の流れは筋肉の働きが鍵になりますが、とりわけ“お腹の働き”(腹筋の状態)は重要なポイントです。例えばとても寒い場所にいったり、体が冷え切ったりすると、私たちは思わず背中を丸め、膝を抱えて縮こまり体温を逃がさないようにします。それが自然な体の反応です。手足も含めて腹側の筋肉をあえてこわばらせ、熱が出ていかないようにしているのです。
 例えば真夏であったとしてもお腹が冷えている人にとっては、これと同じ理屈で手や足の筋肉が縮こまる反応が起きています。手のひらをパーッと広げてみてください。気持ちよく広がり手の甲側に反れるほどでしたら大丈夫といえますが、とてもパーッとという状態ではないようでしたら、やはり筋肉がこわばっています。そのこわばりによって体液の流れがわるくなり、手のひらの水分が余った状態になって汗となって出るということも考えられます。
 あるいはこれとは違い、筋肉がこわばっているわけではないけど手首の関節のところに捻れがあって、やはり手のひらの水分が滞ってしまう場合もあります。
 足裏も同様です。足裏の筋肉がこわばっていたり、あるいは足首や膝の関節が捻れていたりすることも原因として考えられます。
 ・手のひら、足裏の筋肉がこわばっている場合‥お腹の冷えなどが原因していることが多い
 ・手首の関節、足首や膝の関節が捻れている場合

A体の深部筋肉の働きが悪い=骨格を支える筋肉がゆるんでいる
 精神的に緊張すると手のひらのや足裏に汗をかくことがあります。“冷や汗”はそれを象徴した言葉です。ですから、手のひらや足裏に汗をかいている人は“何らかの精神的要因による”という見方で診断されることも多いようです。
 中国の伝統医学(中医学)の考え方に“手足の汗は虚弱体質(脾胃気虚、脾胃は四肢を主る)”というのがあります。お腹の冷えやその他の原因で消化器系統の機能が弱まると手足に汗をかいてしまうというものです。
 さて筋肉をよく観察しますと、働きの違いで筋肉は大きく二つに分類することができます。白筋と赤筋、速筋と遅筋という分け方にも共通するところがありますが、@持久力には乏しいが素速く大きな動きを得意とする筋肉と、A体の深部=骨に近いところにあって関節で骨がグラグラしないように骨格を支える筋肉です。この筋肉は派手さはありませんが、縁の下の力持ちとしてジッと頑張り続ける持久力があります。手の中では人差し指や親指に関係する筋肉が@のタイプで、いろいろ作業をする場合の主役として、手先を器用に素速く動かすのに適しています。中指・薬指・小指の指先に関係する筋肉はAのタイプです。例えば何かを握りしめたりするとき人差し指側に力をいれて握るとすぐに疲れてしまいますが、小指側に力を入れると長持ちします。たとえば鉄棒にぶら下がったとして、時間が経って腕や手が疲れてきますと、最後は中指と薬指の指先に鉄棒を引っかけて頑張ろうとします。このように中指・薬指・小指の指先の筋肉(深指屈筋といいます)は最後まで頑張り続けることのできる筋肉です。そして、この3本の中で代表は薬指のように思われます。
 私が観察したところ、手のひらと足裏の両方に汗をかく人は薬指の指先に力が入りません。
 ゆめとわでは簡単な筋力テストをよくおこないます。その中の一つに親指の対立筋を使ったOリングテストもどきのものがあります。親指の先と人差し指の先を合わせてリングをつくってもらい、ちゃんと指先に力が入るかどうかをテストするものです。同じように親指と中指、親指と薬指、親指と小指でリングをつくり、指先に力が入るかどうかをテストします。すると、親指と人差し指ではしっかり力が入るのに、親指と薬指では力が入らずリングをつくることがやっとできる程度の力しか入らないという人がいます。手のひらに汗をかく人はこういう場合がほとんどです。
 
 そして、この薬指に力が入るように体を整えますと手のひらや足裏の汗はその場ですぐによくなりることがほとんどです。
 体の中のどこかにエネルギーの流れが悪いところがあったり、あるいは骨盤が歪んでいたり、頭蓋骨がずれていたり、お腹が冷えていたりして全身性でエネルギーの流れが悪くなりますと、薬指、つまり体の芯=深部の筋肉が力を発揮することができなくなると考えています。
 エネルギーの流れが悪くなる原因はさまざまです。それはいろいろな要素が絡み合っている場合がほとんどですので一概に言い表すことはできません。しかし、食事をよく噛まずに飲み込んでしまう癖がある人は多くの場合こうなります。またお腹の冷えによるエネルギー不足のときはこうなることが多いようです。
 例えば今、親指と薬指のリングで、薬指に力が入らなかったとして、奥歯をキュッと噛みしめると力が入るようになるかもしれません。あるいは、片手の手のひらをお腹のお臍のあたりに軽くあてると力が入るようになるかもしれません。このような単純なことで、瞬時にエネルギーの流れが良くなり筋力がアップするのもまた、私たちの体の不思議なところであります。
 最近は「よく噛むこと」を奨励する機会も少なくなったようで、とくに若い人には手のひらの汗、足裏の汗の人の割合が多いようです。手のひらや手指がいつも汗で濡れているので、接客で苦労したり、握手することが嫌になったりすることなどは精神的ストレスにつながります。足裏の汗が冷えると益々足が冷たくなるので、より一層冷えで悩むようになります。手足の多汗は、“汗っかき”と同じように思われ、大した問題ではないと考えられがちですが、心理的ストレス以外にもここに記しましたように、全身のエネルギー循環における問題が内在していると考えています。ですから積極的に改善することをおすすめします。

ゆめとわでの対応
 整体というのは文字通り「体を整えること」と考えていますから、体のエネルギーの流れというのはとても重要な項目です。東洋医学的に表現すれば「気の流れ」ということですが、それが順調であれば筋肉はやわらかく、体全体がしなやかに伸び伸びとした感じになります。
 一般的な印象として「整体」というと、骨をボキボキっとやって骨格を整えることだ、と思われている人が多いようですが、ボキボキしないで骨格を整えることはもちろんできますし、本来の目的は骨を鳴らすことではなく、あくまでも体を整えること、機能が順調に行われるように導くことですから、そのためにはエネルギーの流れに着目するのは大事なことだと考えています。
 さて、手足の多汗につきましては上記の通り、手のひら・足裏のこわばりやむくみ、体の芯に力が入らない(薬指の筋力)ことが影響していることが多いと思われますが、その原因はさまざまです。例えば右膝の関節が少し捻れを持っているだけでも右半身のエネルギーの流れは鈍くなります。テレビを見る癖などで、いつも右ばかりを見ている人は眼の筋肉が偏っていますので、それだけでやはりエネルギーの流れは悪くなります。そしていくつもそういうことが重なると、このような多汗症的な症状が現れるようになると推察しています。
 手足の多汗という症状は体の基本的な体質に関わるものだと思っています。つまり他にいろいろな不調をお持ちだったとして、それらを改善しようとしても、この多汗の原因が解決されなければ、それらをスッキリと改善することは難しいと考えられるのです。
 ですから、この手のひらと足裏の汗については、是非とも改善をしていただきたいと考えていますし、お客様にもそれなりの時間を割いて努力していただきたいと考えています。どう努力したらよいのか? それをアドバイスすることも私のつとめだと思っています。
  「肩こりを揉みほぐすのとついでに手足の汗についても施術して欲しい」ということではなく、手足の汗の方を優先に考えて欲しいと思っています。そちらが良くなれば、全身が良くなると考えていただきたいと願っています。
 いつもどことなくだるい、重たい、やる気が出ない、冷たいなどなどという感じから

ゆめとわホームページへ