痛みについて (2)

B筋肉が力を発揮できない状態の時、重力や負荷がかかると痛む

 例えば膝痛の場合、「正座することも膝をよく伸ばすこともなんの痛みを感じることなくできるが、歩くと膝が痛くなる」という人がいます。あるいは、普段はなんともないが、走り出すと腰が痛くなるという人もいます。こういう場合、膝関節がおかしいとか腰が悪いと思われるかもしれませんが、症状をもたらす根本的な原因はそうではありません。
 立ったり歩いたりするときに主に使われる筋肉があります。その筋肉がしっかりしていれば、立つことも歩くことも苦になることはありません。ところが、その筋肉が筋力を十分に発揮できる状態にないとき、つまりその筋肉があまり役に立たないとき、他の筋肉が代わって立ったり歩いたりする動作を行うことになります。するとそれは体の機能を歪ませることにつながりますので、その負担が膝にきたり腰にきたりして痛みを発するようになります。

 筋肉が力を発揮するとは筋肉が収縮することです。筋力とは収縮する力の強さであると言えます。ですから筋肉が筋力を発揮できない状態とは、うまく収縮することができない状態ということであり、筋肉のなかにゆるみっぱなしの部分が存在しているということです。筋力が発揮できないなら筋力トレーニングが必要ではないかと連想する人がほとんどですが、筋力をアップすることが必要なのではなく、筋力を発揮できる状態にすることが必要なのです。その方法の一つは休養で、自然治癒力にゆだねることですし、その他には文字通り“手当て”です。(その他にも方法はあるます。)
 例えばギックリ腰の場合、その多くは背骨や骨盤の関節付近の筋肉か筋膜が捻挫や肉離れや創傷など損傷を受けたものですが、炎症がおさまればじっとしているときの痛みは軽減します。ところがいざ起き上がろうとしたり、歩こうとすると、体に全然力が入らなくて動くことが痛くてできなくなってしまいます。これは損傷を受けたところが筋力を発揮できないので動作ができなくなってしまったということです。(腰部は体の中心なので、ギックリ腰では体全体に力が入らなくなってしまいます。)
 
 「階段を昇ることは平気だが降りるとき膝や腰が痛む」「普段は動かしても痛くないが物をつかもうとすると腕や肩が痛む」「ペットボトルのキャップを開けようとすると痛む」などというのは、筋力が発揮できない状態で頑張ろうとするので他の筋肉に負担がかかって痛みを伴うということです。
 
 筋力が発揮できな状態を「ゆるみ過ぎ」の状態と呼んでいますが、一つの筋肉はたくさんの筋繊維が寄り集まってできていますので、同じ筋肉の中にこのゆるみ過ぎの部分あれば、@のこわばりの部分もあります。「こわばり」「ゆるみ過ぎ」のどちらにせよ、許容能力を超えて存在しますと筋肉全体としてバランスを失い骨格や運動に影響を及ぼすことになります。
C炎症すると痛みを伴う

 骨折や捻挫あるいは転んだりして打撲をしますとその部分が腫れて痛みを伴いますが、それは主に炎症が原因だと考えることができます。
 骨折・捻挫・打撲などは、骨・じん帯・筋肉・筋膜などがダメージで損傷した状態のことですが、すると体の治癒力が発動し損傷を受けた部分に血液やリンパが一気に集まってきます。それによって赤くなり熱を発するようになります。これを炎症反応と呼びますが、損傷を受けたところの組織はこわばり、熱と痛みを発するようになります。
 炎症は体が一生懸命になって傷を修復しようとするありがたい反応なのですが、傾向として必要以上に機能を活発にさせるという傾向があるようです。
 こんな時はまず冷やすことが大切です。そしてしばらく安静を保つことも大切です。損傷が強いと数日間炎症が続くこともあります。ですから冷湿布などで発熱を緩和し、炎症が進行しないようにすることをまず心がける必要があります。
 炎症は痛みを伴いますので、痛み止めや抗炎症剤などの薬剤は有効な方法であると言えます。

 ギックリ腰をした後などお風呂で温まると一時的にこわばりが和らぎますので楽になりますが、その後が大変になります。温めてしまったために炎症が進んでしまうのです。ですから炎症をともなう損傷を受けた後は、血流を活発にさせるような入浴・アルコール・運動などは控えなければなりません。
ゆめとわでの対応

 ここで「こわばり」「ゆるみ過ぎ」と呼んでいる筋肉・筋膜の変調状態は一般の人にはなかなか把握できないものです。しかし筋肉や骨格を整えるという整体手法においては非常に大切な指針となるものです。
 私たちは自分の意志を、脳から出発する神経の信号に変えて筋肉(骨格筋)に働きかけ、手先を動かしたり、歩いたり立ったりという全身の運動を行っています。運動を行うということは筋肉が伸びたり(弛緩伸張)縮んだり(収縮)して骨格を動かすことですが、このとき筋肉の中に「こわばり」の部分がありますと、伸ばそうと思っても伸ばせなないところができてしまいます。また「ゆるみ過ぎ」の部分がありますと、筋肉をうまく収縮させることがでくなってしまいます。

 例えば膝痛の場合、「曲げると痛い」あるいは「伸ばすことができない」というのは「こわばり」が原因と考えられますが、「歩き出すと痛くなる」「階段を降りる時が痛い」などと重力や負荷がかかった時に痛くなるのは「ゆるみ過ぎ」が原因と考えられます。足裏の筋肉がゆるんでいる可能性が高いです。
 このように痛みを誘発している根本原因の場所を特定すること、そして原因となる筋肉・筋膜の変調を正しく判断することが、早期解決のカギだと考えています。

 「こわばった」筋肉が原因の場合は比較的短時間に調整することが可能です。「ゆるみ過ぎ」の筋肉が原因の場合は、ダメージの程度により時間がかかる場合もあります。数十年前の捻挫といえども「ゆるみ過ぎ」の部分が残ったままであれば、必ず体の機能に影響をもたらしています。
 痛みという症状をもたらしている根本原因を的確に見つけ、その原因を適切に解消することが大切です。

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