B筋肉が力を発揮できない状態の時、重力や負荷がかかると痛む
例えば膝痛の場合、「正座することも膝をよく伸ばすこともなんの痛みを感じることなくできるが、歩くと膝が痛くなる」という人がいます。あるいは、普段はなんともないが、走り出すと腰が痛くなるという人もいます。こういう場合、膝関節がおかしいとか腰が悪いと思われるかもしれませんが、症状をもたらす根本的な原因はそうではありません。
立ったり歩いたりするときに主に使われる筋肉があります。その筋肉がしっかりしていれば、立つことも歩くことも苦になることはありません。ところが、その筋肉が筋力を十分に発揮できる状態にないとき、つまりその筋肉があまり役に立たないとき、他の筋肉が代わって立ったり歩いたりする動作を行うことになります。するとそれは体の機能を歪ませることにつながりますので、その負担が膝にきたり腰にきたりして痛みを発するようになります。

筋肉が力を発揮するとは筋肉が収縮することです。筋力とは収縮する力の強さであると言えます。ですから筋肉が筋力を発揮できない状態とは、うまく収縮することができない状態ということであり、筋肉のなかにゆるみっぱなしの部分が存在しているということです。筋力が発揮できないなら筋力トレーニングが必要ではないかと連想する人がほとんどですが、筋力をアップすることが必要なのではなく、筋力を発揮できる状態にすることが必要なのです。その方法の一つは休養で、自然治癒力にゆだねることですし、その他には文字通り“手当て”です。(その他にも方法はあるます。)
例えばギックリ腰の場合、その多くは背骨や骨盤の関節付近の筋肉か筋膜が捻挫や肉離れや創傷など損傷を受けたものですが、炎症がおさまればじっとしているときの痛みは軽減します。ところがいざ起き上がろうとしたり、歩こうとすると、体に全然力が入らなくて動くことが痛くてできなくなってしまいます。これは損傷を受けたところが筋力を発揮できないので動作ができなくなってしまったということです。(腰部は体の中心なので、ギックリ腰では体全体に力が入らなくなってしまいます。)
「階段を昇ることは平気だが降りるとき膝や腰が痛む」「普段は動かしても痛くないが物をつかもうとすると腕や肩が痛む」「ペットボトルのキャップを開けようとすると痛む」などというのは、筋力が発揮できない状態で頑張ろうとするので他の筋肉に負担がかかって痛みを伴うということです。
筋力が発揮できな状態を「ゆるみ過ぎ」の状態と呼んでいますが、一つの筋肉はたくさんの筋繊維が寄り集まってできていますので、同じ筋肉の中にこのゆるみ過ぎの部分あれば、@のこわばりの部分もあります。「こわばり」「ゆるみ過ぎ」のどちらにせよ、許容能力を超えて存在しますと筋肉全体としてバランスを失い骨格や運動に影響を及ぼすことになります。