耳がゆるむと頬が凹む (1)

 私は、肩こりであれ、五十肩や腰痛、膝の痛みなどであれ、どんな症状でも多くの場合、顔を確認したり、顔への施術を行います。そして感じることの一つは、頬(上顎骨)が凹み気味の人が多くなっているということです。
 どうしてなのかといろいろ考えを巡らし、試行錯誤しました。そして一つの答えを得ました。それは、耳たぶ(耳介)を含め耳の穴(外耳道)の皮膚が弛んでしまうと、上顎骨が不安定になってしまうということです。
 反対咬合の人の多くは上顎骨が凹んでいますが、その原因の一番は咬合(噛み方)の仕方の問題と考えますが、その凹んでいる上顎骨を前に出そうとするときに耳への施術が欠かせないものになりました。そんな経緯もあって上顎骨が不安定な人にいろいろたずねますと
 @耳かきが好き
 Aイヤホンで音楽をよく聴いている

 という応えが返ってきました。
 そこで、今回はこのことについて皆さんにお知らせしたいと思います。

耳の穴の皮膚は敏感です

(1) 頬が凹んでいる状態とは

 上の歯が付いている骨が上顎骨です。この骨は、鼻の穴の横から鼻筋に沿って目の内側の額の手前まであります。加齢とともに下がり気味になりやすい傾向があるので、いつしか顔全体が間延びし、鼻の下が長くなったように感じるかもしれません。そして上顎骨の位置は、口の中のゆとりに直接関係します。口の中が狭くなったように感じている人は上顎骨が下がっている可能性があります。
 では、上顎骨が凹むというのはどういうことでしょう。凹むと言っても骨自体が変形するわけではありません。上顎骨が後頭部の方へ少し後退していることであり、上顎骨の内側にある篩骨や蝶形骨、側頭骨などの位置が変位したためだと考えることができます。
 鼻の穴の横の部分に人差し指と中指の二本をあて、少し強めの力でそーっと上顎骨を押し込んでみてください。このときカチッとして反発するようであれば、上顎骨は大丈夫です。少しフワッと沈むような感触があるなら、上顎骨が不安定であり、凹んでいる可能性があります。
 上顎骨が凹みますと舌が余ってしまいます。普通、リラックスした状態で口を閉じますと、舌先は口の中の天井と上の歯の付け根の部分に軽く付くようにして納まります。その位置に舌先を置いてみて、何となく違和感を感じたり、窮屈さを感じたりするようであれば、上顎骨が正しい位置にもどるよう修正する必要があるでしょう。
 上顎骨の凹みによる弊害としては、余った舌先の行き所が落ち着かないため、顎を半開きにして舌先を噛む癖をもつようになったり、舌先で歯を押す癖のため歯並びがおかしくなったりするかもしれません。舌先で口の中の天井を強い力で押しつけてしまうため、その部分が痛くなってしまったという人もいました。
(尚、上顎骨が正しくても、舌そのものがおかしければ、やはり同じようになります。)
A耳がゆるむカナル型イヤホン、耳栓、耳かきに注意を

 「耳がゆんでいる」と言われても、よくわからないと思います。例えば、耳たぶを持って耳を外側に少し強めに引っ張ってみてください。右の耳と左の耳で、どちらか引っ張られると嫌な感じがしたり、それ以上の力で引っ張ると耳が持っていかれそうな感じがしたなら、それは“耳がゆるんでいる”ということです。ゆるんでいない方は、しっかりしていますから安心感があります。
 さて、例えばこのテストで右耳がゆるんでいたとします。では、もう一度両手の人差し指と中指の二本を上顎骨にあてて、左右同時に押し込んでみてください。そして左右の違いを感じ取ってください。右耳がゆるんでいるなら、右側の上顎骨の方が左側より、少し押し込まれる感じがするのではないでしょうか。左耳がゆるんでいるなら左上顎骨が沈む感じがすると思います。
 これで耳と上顎骨の関係につながりがあることが理解いただけたと思います。

 では次に、ゆるんでいる方の耳の穴に人差し指を、耳を補助するイメージで軽く奥まで押し込んでみてください。そうしますと、今度は上顎骨を押し込んでも沈まなくなったのではないでしょうか。このとき、耳の穴を補助するイメージが大切です。単に指を突っ込むだけでは効果は期待できません。

 さて、耳がゆるんでしまうことの原因ですが、それは耳(耳介)や耳の穴(外耳道)の皮膚が弱くなっていて過敏な状態にあるからだと考えています。外耳道の皮膚が過敏になりますと、ある音の響きがうっとうしく感じられたりします。耳元で金属音などがすると嫌な感じがするかもしれません。こういう状態は、自分の意識に昇るかどうかに関わらず、潜在的には世間の音そのものが身体的ストレスとなりますので、それによって歯ぎしりや噛みしめをおこし、首や肩のこりがつらくなったり、良い睡眠がとれなくなったりするかもしれません。

 ですから耳の皮膚は大切にしていただきたく思います。一昔前のイヤホンはスポンジのようなソフトな素材で耳に当てるタイプでしたから、大きな音さえ出さなければさほど影響はなかったとおもいますが、今流行のイヤホン(カナル型)は、耳の穴に直接プラスチック製の素材を突っ込むものですから、皮膚には当然悪影響です。また、耳栓もよくありません。長時間これらを装着することは避けていただきたいと考えます。さらに耳垢とり、つまり耳かきもほどほどにしなければなりません。感覚器官の皮膚や粘膜というのは本当に微妙にできていますので、「そんなことぐらいで‥‥」ということが身体に悪い影響を及ぼしていることもあります。是非、注意してください。

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