腰痛を症状別に考える (2)

B前屈みや中腰が辛い

 草取りや作業で中腰の姿勢をしたあとで腰が痛くなった。靴下を履くのが一苦労。洗面の姿勢が辛い。仰向けで寝ると腰が痛くなる。これらは腰痛の中で比較的多い症状です。
 前屈みができないというのは、背中の筋肉がこわばっていて伸びることができないという状態です。仰向けで寝るのが辛いというのも、背中の筋肉が伸びてくれないことが主たる原因です。ギックリ腰や急性の腰痛でこうなる場合ももちろんありますが、慢性的にこれらの症状がある場合は、骨盤や股関節の歪みが主な原因であると考えることができます。
 中腰などの作業が続いたためお尻の筋肉がこわばってしまい、それによって背中や太ももの筋肉も伸びなくなってしまう場合もあります。この場合は、お尻やふくらはぎの筋肉を揉みほぐすことによって腰痛が軽快することもあります。
 股関節や骨盤のことは前にも考察しましたので、ここではこれを省いて、足と手に着目して考えてみます。そして実際、足と手の問題でこれらの腰痛になっていることは非常に多いです。

足の問題と腰部のこわばり
 整体的に身体を中心部と外側部という観点でみますと、足指の中心部は母趾です。そして手では小指です。話はちょっとそれますが、いわゆるO脚は母趾から続く脚の内側の筋肉がうまく使われいなくて、小趾側やふくらはぎの外側に重心が掛かった状態で歩いたり、いろいろな動作をしている結果の現れです。つまり母趾で歩くことができなくて、足の外側で歩いていると言えるのです。
 まず体の使い方として、重心がいつも中心部にあれば体を壊す可能性は低いと言えます。反対に重心が外側に掛かっていると体を壊す可能性も高くなりますし、O脚のみならず体全体のスタイルも悪くなります。重力に立ち向かって凛りんとしていないというか、猫背気味で重力に押しつぶされている感じの体つきになるというか、そんなふうになってしまいます。

 さて立った時、足の親指やその付け根の部分がしっかりと地面を捉えていれば問題はないのですが、小指(小趾)や3趾、4趾側に力が集中していて、親指の付け根がなんとなく浮いた感じがするようであれば、それは好ましくない状態です。立つ姿勢自体が不安定なので、親指の先に力を加えて曲げて、踏ん張った状態でなければ長く立っていられなくなります。歩く動作でも同様です。常に親指の先に力を入れ続けますので、その筋肉(長母指屈筋)がこわばってしまいます。すると外くるぶしのある骨(腓骨)が下に下がります。するとそれによって、ふくらはぎや太ももの筋肉がバランスを失います。それが骨盤や股関節を歪ませ、背中の筋肉のこわばりを招きます。
 草取りや潮干狩りなどしゃがんだ姿勢でじっとしている状態を長く続けていますと、アキレス腱が伸びてしまいます。アキレス腱は重力に対抗するふくらはぎのヒラメ筋の延長線でもあるため、ヒラメ筋の働きが悪くなります。すると同じ抗重力筋である大殿筋にも影響が及び、洗面など前傾姿勢で上半身を支える力が弱くなるため、その姿勢が辛くなります。

手の問題と腰部のこわばり
 パソコン社会と言ってもいい今日、手指の使いすぎで手がこわばっている人がたくさんいます。
 “腰痛を改善するためには必ず手を施術しなければならない”ぐらいに私は考えています。手を施術しなくてもそれなりに腰痛を改善することはできます。しかし、最後の微調整における決め手は手への施術か、あるいは足の母趾の先端への施術になってしまいます。
 手をざっくりと親指側と小指側という観点で分けて考えます。肘から手首にかけてを前腕と呼びますが、前腕には親指側の橈骨と小指側の尺骨という二つの骨があります。そして橈骨側には橈側手根屈筋、尺骨側には尺側手根屈筋という二つの大きな屈筋(手首を内側に曲げる)があります。この二つの筋肉は連動性の関係から、腹部では腹筋のうち外腹斜筋と腹直筋、太ももでは大腿四頭筋のうち外側広筋と大腿直筋に、ふくらはぎでは前脛骨筋と長母指屈筋にそれぞれ連動しています。
 つまり手の筋肉がこわばると、そのこわばりは足の筋肉にまで及んでしまうということです。すると手の問題が足の問題につながり、骨盤を歪ませ、腰痛を招くという経路が浮かび上がってきます。実際、手のひらの土手部分がカチカチになっていて、いつも手のひらがつぼまっているような人がたくさんいます。

座った状態では前に屈めるが、立つと屈めなくなる
 座った状態で靴下を履くとか、椅子に座ったまま物を拾うために屈むことは大丈夫だが洗面など立った状態で前に屈むことがつらいという人もいます。前に屈むことに限らず、座ると大丈夫だが立つと駄目になるというのは、膝が不安定であると考えることもできます。膝に体重がかかると重さに耐えられないため周囲の筋肉の状態が悪くなるという状態です。この場合も、手への施術か、母趾先への施術で症状は改善します。もちろん膝の不安定さも改善します。
C座り続けることができない

 座り続けているとつらくなってしまう場合の直接的な原因は骨盤の不安定さだと考えられます。立った状態や寝た状態では大丈夫なのであれば、座った時に負荷が掛かる部分(骨盤の坐骨部)が不安定なので腰痛になってしまうという理屈です。
 骨盤を不安定にさせる理由も幾つかありますが、ギックリ腰や肉離れなどの損傷の痕がしっかり治りきっていなかったり、骨盤体操などで許容範囲を超えて骨盤を動かしすぎて靱帯が伸びてしまったり、ボキボキやったり強い力で骨盤矯正などをしたために靱帯が伸びて不安定になってしまったということも考えられます。また、長時間座り続けることが重なって太ももの裏の筋肉や筋膜が伸びた状態、ゆるんだ状態になってしまい骨盤が不安定になることもあります。椅子の座の角がいつも同じ部分に当たり続けているとその部分が疲弊して伸びてしまうことはよくあることです。
 座るとだるさやシビレ感が出てきたり、それらの症状が強まるようであれば骨盤の不安定さによる坐骨神経痛も考えられます。また、横向きやうつ伏せで寝ることは大丈夫だが、仰向けで寝ると坐骨神経痛の症状(シビレ、痛み、だるさ)が出るのであれば、直接殿部を床に着きたくないということですからやはり骨盤の安定性に着目することになります。
D坐骨神経痛=下肢のシビレ、違和感、痛み、だるさ

 坐骨神経痛はお尻からふくらぎ、あるいは足先にかけて症状が現れる状態ですが、程度の差が様々です。軽微なものでは皮膚感覚に違和感を感じる程度です。太ももの外側やふくらはぎの外側を触ると、他の部分とは違った感じがするというものです。もう少し程度が進むとだるさやシビレを感じるようになります。さらに進むと痛くなり、その状態がひどくなると痛くて動かすことができなくなり、あるいは運動神経が麻痺して足や足趾を動かすことがままならなくなったりします。
 坐骨神経痛になる理由もさまざまですが、一番多いのはお尻がカチカチになってしまい、硬く太くなってしまった筋肉が坐骨神経を圧迫してしまうことでしょう。その他に、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症でも坐骨神経痛になってしまいます。股関節がおかしくて坐骨神経痛になることもあります。

 施術をしてみて実際に感じることは、短期間で改善しやすいものと、なかなか改善に向かわないものの二つがあるということです。どんなに症状が強くても原因がはっきりしているものは短期で改善しやすい分類に入ります。原因がはっきりしているというのは、どこかをケガしてそうなったとか、何かをした後でそうなったというものです。
 改善しにくいのは、ケガなどによって受けたダメージが強いものや、すっかり慢性化している場合です。「軽いシビレやだるさは何年も前から感じていたが、不自由はなかったのでそのままにしていた。最近になってシビレが強くなり痛みを感じるようにさえなった」というのは、症状の程度が強まったのは最近のことだが、坐骨神経痛の状態そのものは何年も続いているということですから、慢性化してしまったものです。こういう方に対しては、なんとか日常生活に支障がない程度にはすぐにしてあげたいと思うのですが、それがなかなか難しい場合があります。
 神経痛ですから、神経がその経路のどこかで圧迫されている、あるいは神経に血液がうまく通っていないことが原因の大半です。それがクリアできれば神経痛は解消されるはずです。しかし、なかなかクリアできないケースもたまにあります。今後の私の課題でもあります。

 坐骨神経痛については奥が深いので、それだけのタイトルでそのうちアップしたいと考えています。

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