2013年12月26日

股関節と膝関節と肩関節の関係

 股関節は骨盤の関節であり、もしかすると腰痛や膝痛には関係するともしれないと思われる人はけっこういます。ところが、肩関節の痛みや不具合と股関節や膝関節が関係すると思われる人はほとんどいません。
 しかし、実際はとても関係し合っています。今回はこのことについて考えてみます。

肩関節で腕を上げると痛みを感じる人は膝の内側もおかしくなる

 いわゆる五十肩あるいは四十肩と呼ばれる肩関節の不具合で、腕が十分に上げられない時、膝関節の内側に違和感や痛みを感じる場合があります。
 肩関節の不具合にもいろいろありますが、一番なりやすいのが腕を上に上げることができない症状かもしれません。(この段階であれば比較的容易に肩関節の不具合を修正することができます。)
 腕を水平に上げて内側に回した時痛みが発生する場合は、烏口腕筋という筋肉がこわばっています。さらに大円筋がこわばっていて伸びが悪いため腕を高く上げることができません。
 こういう場合は手首のずれが原因である可能性が高いです。手首を内側に捻る動作などで手が写真のように回内位になってしまう人はたくさんいます。包丁を使う動作でも食材を切り終える最後の時に僅かですが手首を内側に捻ります。ですから包丁をたくさん使っただけで肩関節の不具合になる場合もあります。
 さて、こうなりますと筋肉の連動の関係で、太ももの外側広筋という筋肉がこわばります。太ももの外側が常に張っているように感じるかもしれません。すると、スネ(脛骨)を外側に回すように引っ張ってしまいます。それによって脛骨は外旋位になりますので、膝の内側の筋肉や筋膜には常にテンションが掛かってしまい、そこに痛みや違和感を感じるようになってしまいます。
 このように腕を十分に挙げることができない症状の時に、膝の内側が時折ジンジンしたり、あるいは膝の曲げ伸ばしをする時や歩行の時に膝の内側に痛みを感じる状況になることはよくあることです。

肩関節と股関節の関係

 上記の腕が十分に挙げることができない段階が進むと、何もしなくても肩や腕に違和感を感じたり、腕を後に回すことができなくなったり、ものを片手で持ち上げることが辛くなったりします。そして、この状態がさらに悪化しますと、ただ寝ているだけでも肩関節がうずいたり、腕が重く感じて抱え込むようになってしまう段階に進んでしまいます。かなり重症の五十肩(四十肩)です。
 この状態は、腕が体にくっついているのではなく、ぶら下がっているというように感じてしまうかもしれません。こうなる症状で一番多い原因は、肩甲骨の裏側から腕につながっている肩甲下筋という筋肉が伸びきったゴムのようにゆるんでしまったことです。何かに強く引っ張られたりすると、段階を経ずにいきなりこういう状態になることもあります。
 そして、こうなりますと股関節もゆるんでしまいます。歩き方が普段と違うように感じたり、股関節に痛みを感じたり、あるいは腰が痛くなったりするかもしれません。あるいは脚がむくみ安くなったりするかもしれません。
 また反対に、何らかの理由で股関節がゆるんでしまうと肩関節がおかしくなってしまうこともあります。
 整体の施術においては、必ず肩関節と股関節の両方を調べます。そしてどちらが影響を与えているのかを判断して、原因となっている方を修正します。ですから肩関節の異常なのに股関節を先に直して、その後肩関節の修正に取りかかることなどは頻繁に行われます。