むくみと小顔

 “小顔”になる整体を要望する女性はたくさんいます。しかし、整体の範疇で実現できる小顔には限度があります。それは、その人本来の頭蓋骨の大きさは小さくできないからです。それ以上に小さくしようとするなら、頭蓋骨のそれぞれの骨を押し込んで陥没させるようにするしかありません。あるいは美容整形では違う方法があるのかもしれませんが。昨今、小顔を売りにしている整体院もあるようですが、トラブルもいろいろあるようです。
 だからといって“小顔は無理”ということではありません。多くの人は顔に余分なむくみやタルミを持っています。それらによって目や鼻が本来よりも小さく見えてしまっていたり、頬や顎ラインがふくれていたりしますので、余分なものを取り去れば目鼻立ちもハッキリし、相対的に小顔に見えるようになります。またエラが張っていることを気にされている人もいますが、それも下顎の角度を正しくすることである程度目立たなくすることはできます。

静脈の流れを良くしてむくみを改善

 内臓疾患などの病的な状態を除いて、顔がむくんでしまうのは主に静脈の停滞が原因だと思われます。むくみをもたらすのは水分ですから、血液ではなくリンパの流れと関係するのではと思われるかもしれませんが、リンパも最終的には鎖骨下静脈に合流しますので、やはり静脈の流れは大切だと考えています。
 静脈もリンパも、その流れ具合を左右するのは心臓(の拍動)の力ではなく、周辺の筋肉の働きです。(実際には筋肉と筋膜の状態だと思います。)動脈は脈打ちますので血管の力で血液を流しますが、静脈とリンパにはそういう働きがありません。周りの筋肉の収縮と弛緩を利用して血液やリンパ液を運んでいます。
 ところで実際にむくみを改善しようとする時、まず最初に注目するのは鎖骨下静脈です。鎖骨下静脈は血液やリンパ液が心臓に戻る時の最後の難所とも言えます。それは鎖骨と第一肋骨の間の狭いところを通っていますので、鎖骨がずれたり、肋骨が歪んでいたりしますと流れが停滞してしまいます。顔のむくみを取るために頭蓋骨を整えたり、顔の筋肉を調整したりしても、この鎖骨下静脈の流れが悪ければ効果が半減してしまいますので、最初に整える場所は鎖骨下静脈の流れになります。
 次に注目するのは骨格の歪みです。原理の細かい理屈は定かではありませんが、顔に限らず骨格が歪んでいるとその部分以降の血液(動脈も静脈も)の流れは悪くなります。話は変わりますが、膝から下がむくみやすい人はたくさんいます。それらの人のほとんどは、膝で大腿骨と脛骨の関係が歪んでいます。(膝の関節が捻れている)足が異常に冷えるという人は、足首が捻れていて血液循環が上手くいっていないことが多いです。そしてこれらの捻れを解消するとむくみや冷えは間もなく改善します。同じことは頭蓋骨でも言えます。頭蓋骨を形成するそれぞれの骨が正しい関係にあれば血液の流れは良くなり、むくみの解消につながります。
 そして最後は、筋肉・筋膜の状態を見ます。筋肉・筋膜はしばしばこわばって硬くなったり、反対に力不足の状態でふぬけのようになったりと変調をおこします。そのような状態ですと細胞の働きが悪くなるため、やはり毛細血管レベルで血液やリンパ(体液)の流れが悪くなり老廃物の除去能力も落ちます。細かいレベルでむくみが発生することになります。特にそしゃく筋の変調は顔全体に影響しますので、その調整は念入りに行います。

顔は正しく整えますと、それだけで小顔に見えます

 冒頭に申し上げた通り、整体で頭蓋骨の骨格そのものを小さくすることはできません。ですからサイズとして小顔を実現することは難しいことです。ところが見え方として“小顔”を実現することは可能です。また、むくみやタルミ、筋肉のこわばりなどが改善しますと、触った感触も小顔になると感じられます。むくみが改善し、目・鼻立ちがはっきりし、頬や顎ラインもスッキリして、鼻筋もくっきりするためバランスとして“小顔”のようになると思います。
 顎のエラが目立つことを気にされている人の中には、噛み癖や姿勢などの問題で下顎が前に出ていたり、あるいは下顎の角度でエラが目立ってしまっている人もたくさんいます。そのような場合は、噛み合わせや下顎の状態を正しくすることで、エラの部分が奥におさまるようになり目立たなくなることは十分可能です。エラの部分の筋肉が発達しないようにあえて食事で噛む回数を減らしたり、あるいは注射をして筋肉の発達を阻止したりする方法もあるようですが、それは全身の健康にとって大きなマイナス要因です。決してそのようなことはされないようにしてください。