頭痛(緊張型)と片頭痛

 日々、強い頭痛に悩まされる人は、まず脳外科などで検査を受け脳に異常があるかないかを確認される人が多いようです。多くの人は“脳には異常なし”と診断され、「肩や首のコリが原因ではないか?」と指摘されるようです。いわゆる緊張型頭痛と診断される場合が多いようです。
 「首と肩がガチガチに凝っていて頭痛がするので、揉みほぐして欲しい」とやって来られる人がたくさんいます。ところが、首や肩がたいそう凝っていても頭痛に縁の無い人もたくさんいます。そういうことから、一般によく言われる「首・肩の凝りが原因で緊張型頭痛になっている」という見解は間違っているように思われます。
 頭痛で一番多い“緊張型頭痛”は、頭蓋骨を取り巻く筋肉や筋膜がどういうわけか頭蓋骨を締めつけるような状態になっているためもたらされるものだと思います。つまり筋肉や筋膜が縮んでいる(=こわばっている)状態にあるということです。筋肉はこわばると縮んで太くなります。(例えば二の腕に力こぶをつくろうとする時、筋肉を収縮させるわけですが、同時に筋線維が太くなります。これと同じ原理です。)太くなるため頭蓋骨を締めつけると言ってもいいかもしれません。
 「頭(の筋・筋膜)が凝っているで頭痛がする」というのはうなずけますが、首や肩が凝っているので頭痛がするというのは、道理が違うように思います。ただし、首が凝っていて血管を圧迫するため血圧が上がるので頭痛・片頭痛の症状をもたらすというのは考えられることです。

 整体的に観察しますと緊張型頭痛は頭痛のする部位で大きく3つに分けて判断します。
 @眉から額にかけての前頭部の場合は、顔の筋膜がこわばっていることが考えられます。これは顔面からお腹にかけての筋・筋膜の状態に着目します。
 Aこめかみなど側頭部の場合は、そしゃく筋に着目し、食いしばりや歯ぎしり、噛みしめの有無を見て対処します。
 B後頭部から首の付け根にかけての場合は、背中側の状態や後頭骨の状態に着目します。肩甲骨の位置についても着目します。

 血管がうずくような片頭痛は、血液の流れという面に注目して対処しています。

側頭部の緊張型頭痛の多くは噛みしめ、食いしばり、歯ぎしりの癖

 こめかみから側頭部にかけての頭痛は、側頭筋(そしゃく筋)を中心に側頭部の筋・筋膜がこわばっているためにもたらされている場合がほとんどです。
 原因の多くは、噛みしめ、食いしばり、歯ぎしりの癖です。これらの癖によって側頭筋はコチコチにこわばります。さらにこれらの癖によって顎関節も硬くなり動きが悪くなりますし、首から肩にかけての筋肉(斜角筋・肩甲舌骨筋・胸鎖乳突筋など)も連動してこわばるため、慢性的な首肩の凝りに痛みや辛さを感じます。横を向く動作もスムーズには行えなくなります。
 ですから側頭部の頭痛に対しては、側頭筋、咬筋などにあるこわばりを改善することが有効です。施術では、直接これらの筋肉に手指で圧するなどして、こわばっている部分をゆるめますが、自分で改善するためには柔らかいもの(小さくしたパン切れなど)を柔らかい力で噛むなどして硬くなったそしゃく筋をほぐすようにするのが有効だと思います。
 そしゃく筋のこわばりが改善しますと速やかに頭痛はなくなりますし、首肩の凝りも楽になりますが、噛みしめ・食いしばり・歯ぎしりの癖が解消されなければ再び頭痛が戻ってきます。噛みしめや食いしばりの癖は本人の努力でなくすようにしていただきたいし、歯ぎしりについては一緒によい方法を考えていきたいと考えています。

眉〜額(前頭部)の頭痛は顔面〜お腹にかけての“こわばり”が影響

 頭痛が額から眉のところにある場合は、顔面の筋膜がこわばっている可能性が高いです。そのこわばりは、顔や喉に力が入っているためにできる場合もありますし、胸(肋骨)が下がっていて引っ張られるためにできる場合もあります。
 お腹が冷えていると腹筋にこわばり(収縮ままの状態)の部分ができ、それによって胸が下に引っ張られます。すると首の前面、喉、顔面の筋膜も引っ張られる状態になります。それによって前頭部に頭痛が生じる場合があります。目も開きにくくなるため、目の奥が痛くなることもあります。女性ですと、普段よりバストの位置が下にあるように感じられると思います。
 「頭痛もするし、目の開きも悪いし、胃の調子も悪く、背中も痛い。マッサージを受けても首・肩のハリが取れない。」このような場合はお腹の冷えが根本的な原因である可能性が高いです。湯船にゆっくりつかって積極的にお腹を温めることをおすすめします。整体方法としては腹部への施術を行います。  

後頭部の頭痛は背中側、骨盤や肩甲骨の位置が悪い可能性

 後頭部から首の付け根にかけての頭痛は後頭骨が上がっているか、肩甲骨が下がったり外にずれている可能性があります。
 後頭部の後頭骨には骨盤から背中を通じてつながっている背筋や肩甲骨につながっている僧帽筋があります。例えば後頭骨が上にずれている場合、それらの筋肉は緊張してこわばります。あるいは骨盤(仙骨)が下がっていたり、肩甲骨が下や外にずれている場合もそれらの筋肉はこわばります。そしてそのこわばりによって後頭部に頭痛がもたらされることになります。
 骨盤が下がるのは下肢からの影響の場合が多いですから、足の方の調整が必要になります。肩甲骨が下がるのは肩甲挙筋、僧帽筋(下部線維)、広背筋などの影響によりますが、手〜腕や肩関節の状態が影響します。また骨盤の捻れによっても僧帽筋・広背筋は影響を受けます。目の疲労や寝ちがいなどで首筋をおかしくするとやはり肩甲骨は下にずれます。